ニュース和歌山の第2・4水曜号で連載中の「和歌山よもやまリサーチ」。読者から頂いたアンケートの回答を通じ、和歌山に暮らす方の好みや傾向を探っています。新年を迎え、焦点をあてたのはお正月。おせち料理と初もうでについて調査しました。結果から地元愛、家族愛に満ちた和歌山の新年の様子がうかがえます。

Q.おせち料理 準備は?

A.6割が手作り 受け継ぐ伝統

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 「家で作る」が404人で全体の64%を占めました。 理由は「家族の好物を入れたい」(80歳女性ら多数)、「家族それぞれの好きな物を1品ずつ詰めて完成」(68歳女性)と家族愛からです。うち24人は「伝統の味を受け継ぐため」。「我が家の味を子どもに伝えたい」(45歳女性)、「作っている所を子どもに見てほしい」(45歳女性)、「我が家の伝統の味は4代目」(72歳女性)と気合い充分です。「祖母と母とみんなで作ります」(35歳女性)、「家族みんなで共同作業」(30歳女性)といった方も9人いました。
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   「店で買う」は124人でした。「作る時間がない」(50歳女性ほか)が20人おり、「主婦も正月は休みたい」(35歳女性)との叫びも。また、「種類が多く手間いらず」(69歳女性)、「豪華」(73歳女性)とおせち商品の充実を讃える声も強い。14人は家族が減ったことを挙げ、65歳男性は「妻が作ってくれない」とお嘆き。「昔張り切って3段重を作ったが、腐らせた。もう作りません」と56歳女性は怨み節です。

 「作るのと買う半々」は39人。「手のかかる田作り、黒豆は買う」(70歳女性)との人と「黒豆、田作り、数の子とたくさん食べたいものは作る」(67歳女性)と対照的な意見が来ています。

 「食べない」は36人いました。「一人暮らしだから」(57歳男性)、「孫が来なくなったので」(70歳男性)と寂しい声のほか、「土地柄、新鮮な魚が食べられるので鍋」(62歳女性)と他の豪華メニューを選びます。「その他」の方は親戚宅や実家で、ただ「食べる人」のようです。

Q.好きな1品は?

A.黒豆圧勝 多くが自画自賛

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 903の回答が集まりました。1位は361票を集めた黒豆。「家庭の味」(38歳女性ほか)が多い中、「自作のがおいしい」(31歳女性)、「上手に煮ることができる」(64歳女性)とドヤ顔が見えそうな回答も。「大晦日からストーブで煮る」(66歳女性)、「2日かけ煮て近所に配る」(66歳女性)、じっくり煮るのがコツのようです。67歳女性は「豆豆しく暮らしたい」と意味を重んじます。
 2位のかずのこには「正月しか食べない」(37歳女性)、「酒にあう」(71歳男性)。3位のえびには「縁起物」(61歳女性)。「アシアカエビの煮付けを作る」(66歳女性)は地元のエビにこだわってでしょうか。

 このほか、煮しめには「正月が来た気がする」(50歳女性)、田作りには「亡き母が作ってくれた思い出の味」(62歳女性)と思いが味にしみます。

 9位はローストビーフ、子持ちイカ、昆布巻き、ぶりの照り焼き、タラが並びました。

 『聞き書き 和歌山の食事』の執筆者の1人、坂口サチヱさん
地元の食材を使った手作りのおせち料理が〝ほんまもん〟のごちそうだと多くの人が感じ始めたことを示す結果だと思いました。多くの人が各家庭に伝わる味を守っているのは素敵です。おせちを通じ、心を受け継ぐことができるからです。昔、お雑煮の水は1年の最初に使う水を用いました。そんな所も改めて取り入れ、孫や子どもと一緒に作ればさらにお正月は楽しくなるでしょう。料理のランキングは順当です。おせちと言えば黒豆、そしてお雑煮ですね。


Q.初もうではどこへ?

A.まずは地元 近所の神社

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 多くの方が日前宮に参拝しています。理由としては「車で行きやすい」(60歳女性ら6人)、「外出途中に立ち寄りやすい」(34歳女性)と交通アクセスの良さをあげる方が多数です。「毎年の決まり」(59歳男性ら22人)と日前宮参拝を1年の恒例行事とする方がいれば、「結婚式を挙げた場所」(50歳女性ら6人)、「子どものお宮参りをした」(59歳女性ら3人)と一生のおつきあいをされている方も多いです。
 続いては近所の神社、氏神様。「一番落ち着く」(65歳女性)、「近いから必ず行ける」(72歳男性)、「まずは地元、感謝の気持ちで」(62歳女性)、「家族でお参りできる」(58歳女性)と多くの方が地域密着型。地元愛が生きているのを感じ、うれしく思います。

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 紀三井寺へ参る方も多数でした。「長い階段を上り、境内からの景色が最高」(58歳女性)、「山から景色を眺め願いをこめる」(60歳女性)と階段を上ることに新年を感じています。66歳女性は「運動を兼ね参拝」とのこと。

 和歌浦天満宮には「周囲の風景が正月らしい」(62歳男性)、「学業成就のため」(63歳男性)。続いて紀州東照宮、根来寺、竈山神社、伊太祁曾神社など有名な神社仏閣の名前が並びます。中には「あちこちの神社での初もうでを楽しみたい」(63歳女性)、「紀三井寺、東照宮、天満宮へ行く」(67歳女性)と複数の神社を巡る方もいらっしゃるようですね。

 「行かない」は57票を数えました。「混んでいて人が多い」が多くを占め、「寝正月だから」(65歳男性)、「家でゆっくりしたい」(30歳女性)と〝外出しない派〟もたくさんいました。

写真=初もうでの参拝客が多い日前宮

Q.ひいたおみくじ どうする?

A.「神社に結ぶ」が大多数

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 最多は「神社に結ぶ」247人でした。理由は「願いが叶うと思う」「御利益がありそう」が目立ちます。「大吉でも凶でも良い方向に導いてくれると信じている」(69歳女性)、「その神社でひいたから置いてきた方が良いことが起こりそう」(67歳女性)と幸運を願います。

 「おみくじはしない」と言う人も多く、「悪いと1年落ち込みそう」(38歳女性ら多数)、「凶が出たら嫌」(62歳女性ら多数)。「気にして本当に信じてしまう」(46歳女性)などです。中には「なるようにしかならない」(79歳男性)との方も。
 

「持って帰る」は91人で、「家でじっくりと読みたい」(68歳女性ら多数)はじめ、「家族とわいわい話すため」(41歳女性)など。「1年間財布や手帳に入れておく」(39歳女性ら多数)、「家計簿にはっておく」(62歳女性)、「1年間保管して年末にどんな1年だったかチェック」(34歳女性)と検証する人もいるようです。
 「その他」で多かったのは「大吉だけ持って返り、それ以外は神社へ結ぶ」(37歳女性)。大吉が出たら、そうしてしまいますよね。

 県神社庁事務局長の一ノ瀬康弘さん…近所の神社へ初もうでに出かける割合が高いのは、地域の守り神としての氏神信仰が根付いていると感じます。1年の平穏を祈る初もうでにどこへお参りに行くか特に決まりはありませんが、まずは氏神様にごあいさつしましょう。神社での正しい拝礼作法は二拝二拍手一拝です。おみくじは単に吉凶判断を目的とせず、内容を生活の指針にすることが大切。神社に結ぶのは風習で、持ち帰って読み返し、自分の行動と照らし合わすのは良い事です。ただ神様から頂いたものなので、不浄な扱いにならないよう最後には神社にお納め頂くのが良いと思います。

(ニュース和歌山2015年1月1日号掲載)