合格願う受験生の聖地

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 学問の神様、菅原道真をまつる和歌浦天満宮(和歌山市和歌浦西)、福岡の太宰府天満宮、京都の北野天満宮は「日本三菅廟」と呼ばれ、全国から受験生が訪れます。今の時期は多くの学生でにぎわい、1月25日(日)に初天神が行われます。

写真=急傾斜の石階段を上る際はご注意を

絵馬は年間5千枚

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 901年、醍醐天皇の右大臣だった菅原道真が太宰府へ流される際、和歌浦に立ち寄った。この縁で、道真の死後、霊をまつるため造られたのが天満宮だ。和歌浦の天神山に社殿を構え、江戸時代に造られた本殿や楼門は国の重要文化財に指定されている。

 「標高が高く、天(神様)に近いので願いが叶いやすいと言われ、全国から参拝者が集まってきます」と禰宜の小板政規さん。道真を慕って、受験合格や学業成就の祈願のため、多くの受験生やその家族が参拝に訪れている。

 境内の絵馬所には、「絶対合格!」「入学できますように」と書かれた絵馬がびっしりかけられている。小板さんは「年間5000枚近くの絵馬が奉納されます。以前は高校、大学受験が多かったですが、最近は小中学校の入試や就職、資格取得の合格祈願が増えています」と話す。

写真=境内には合格祈願の絵馬がびっしり

初天神に抹茶

  参拝の際、初めに乗り越えなければならないのが、鳥居から社殿へ続く石階段だ。海抜約90㍍にある社殿まで50段。最上段まで一気に上ると息が上がってしまうが、上り切ったところで振り返ると、和歌浦湾を一望できる絶景に出合える。なお、階段が辛い人は、上り口の左手側にあるゆるやかな坂道でも境内に上がることができる。

 道真の命日である1月25日と月初めの一日は毎月、道真をまつる神事を行っている。1月25日(日)はその年の初めの神事「初天神」で、楼門の東西に付随する建物「廻廊」で抹茶の振る舞いがある。大茶碗や普通サイズの茶碗で抹茶を飲むことができ、小板さんは「お参りついでに気軽に寄ってください。万葉の時代が感じられる景色を楽しみながら、一服してもらえれば」と準備している。

 振る舞いは午前10時~午後2時。無料で先着順。

禰宜の小板政規さん

 「2010年に干潟や不老橋などが国の名勝になり、昨年は天満宮を含む一帯が追加指定され、万葉集のころから親しまれてきた風景が認められました。1月中の土日は常に数家族が参拝や祈祷に来られており、5月の連休前まで個人だけでなく学習塾などの団体も参拝されます」


〈所在地〉和歌山市和歌浦西2丁目1−24
〈時間〉午前8時半〜午後5時
〈アクセス〉入口近くに無料駐車場があるが、台数に限りあり。公共交通機関の場合、和歌山バスの停留所「大道町」か「権現前」で下車。御手洗池の縁を5分程歩けば着く。
〈問い合わせ〉天満宮073・444・4769
「和歌山おでかけ案内所」は第2、第4水曜に〝オープン〟します。次回は1月14日(水)掲載です。

(ニュース和歌山2015年1月14日号掲載)