◆内科・老年内科
あきさきクリニック 明嵜 太一院長
A. 高齢者の糖尿病治療は、基本は若い方たちと同じで、食事療法、運動療法を中心に、病態に応じて薬物療法を追加します。しかし、高齢者の場合は注意すべき点があります。
食事療法では、バランスの取れたカロリー制限が必要で、タンパク質が制限されてしまうと筋肉量が減少する「サルコペニア」という現象を引き起こすおそれがあります。また過度な糖質制限でも、脂肪だけでなく筋肉などのタンパク質がエネルギー源として使用されますので、サルコペニアに至ることがあります。サルコペニアになると、転倒や寝たきりの要因となりますので注意が必要です。
運動療法では、膝や腰などに問題を抱えている場合は、その方のADL(日常生活動作)に合わせた運動強度を考慮します。例えば、膝が悪い方には、プールでの運動や室内でイスを使った運動などを勧めます。
薬物治療については、低血糖のリスクがより少ないこと、内服の仕方がより簡素であることが求められます。糖尿病の内服治療薬は、1日1回で済むものから3回服用するものまであり、更に食事の前か後かの服用時間も含めると、とても複雑です。その方の認知機能や社会的背景なども考慮して、選択することが重要です。
(ニュース和歌山2015年1月24日号掲載)