甲子園球場13個分の広さを誇る花王和歌山工場(和歌山市湊)にある花王エコラボミュージアム。地球温暖化や花王の環境保全への取り組みを知り、体感できる施設だ。友人や家族と一緒に地球に優しい〝エコ〟を学んでみませんか?
仕掛けを探して
研究の森をイメージしてデザインされたミュージアムは2011年に完成した研究棟の1階にある。円柱状のガラスの壁や、アクリル板を重ねた地球儀と宇宙船のような近未来的な空間が広がる。
まずは映像や和歌山の里山を再現したジオラマで地球の環境問題を知ろう。この後、花王製品の原材料選びから製造、輸送、家庭で使われ、ゴミとして出されるまでを5つの過程に分けて紹介したブースを巡る。「展示を見るだけでなく触って楽しむ仕掛けがあるので探してみて」と案内係の中村いづみさん。
石けんや洗剤に使われるヤシの実を高く積み上げた原材料のブースには、タブレット型端末の画面上で、実を切って、油を抽出する作業を疑似体験できる。製造ブースでも、端末に工場で使った水を〝注ぎ〟(写真上〈携帯などでは一番上〉)、画面の中を泳ぐ魚にふれられる。
家庭で使うブース(同右〈携帯などでは直ぐ上〉)では、キッチンや洗面所に隠されたボタンを押すと、節水、節電できる家事の方法が、鏡やガラスに映し出される。
熱帯雨林の温室
続いて実験テーブルへ。用意された水の中にラー油を3滴垂らし、その上に食器洗剤を2滴落とす。すると不思議な現象が…。中村さんは「普段の家事も科学的にひも解けば、水や洗剤の節約とエコにつながります」と語る。
最後は植物・バイオマス研究棟の温室。フィリピンやマレーシアの高温多湿地域を再現した室内は、冬でもじわっと汗ばむ暖かさだ。カカオやアボカド、日本最大のシダ植物、ヒカゲヘゴなど約60種の珍しい植物が生い茂る。妻鳥正樹館長は「和歌山にこんな場所があったなんてと皆さん驚かれます。ココヤシが20㍍まで成長するので天井を高くしています」。
ここまでの見学所用時間は約1時間半。希望者は合わせて、洗剤を作っている工場の見学も可能だ。内容盛りだくさんで、親子でも、大人だけでも充分に楽しめる。花王の先端技術に触れながら、家庭でできるエコな取り組みを学んで、地球に優しい暮らしを始めよう。希望者は必ず事前に予約を。
妻鳥正樹館長「1890年の創業当時の石けんや世界初のコンパクト洗剤など昔懐かしい製品も展示しています。工場では極力環境に配慮した取り組みを進めていますが、家庭でも製品の使い方やゴミの出し方を工夫することでエコにつながります。一緒に地球環境を考えるきっかけにしてもらえれば」
写真=南国を再現した温室
〈住所〉和歌山市湊1334 花王和歌山工場内
〈時間〉午前9時半〜午後4時
〈休館日〉土日祝日、年末年始、花王の会社休日
〈アクセス〉南海和歌山市駅から新和歌浦行きバスで10分。「花王橋」下車
〈対象〉小学3年生以上、5人以上のグループで
〈入館料〉無料
〈問い合わせ〉073・426・1285
※「和歌山おでかけ案内所」は第2、4水曜〝オープン〟です
(ニュース和歌山2015年2月25日号掲載)