四季を感じさせる自然や、伝統行事などを未来に残し、伝えていきたい故郷の景色をまとめた「残したい和歌山の風景・50」。昨年1年間好評いただいた連載に、〝プラス〟として、読者の方々から寄せられた4ヵ所の風景を紹介します。
和歌山城の桜
和歌山城の公園には春、私たちの心をなごませる美しい桜が咲きます。桜の数はおよそ600本あると言われていますが、やや少なくなってきたように思います。以前あった見事な枝振りの桜が、無残に切り落とされてがっかりする事が多々あります。ソメイヨシノの寿命は意外に短く60年程度と言われています。次の世代にこの美しさを残すために新しい苗木を毎年植えるとか、今私たちは何かアクションをとるべきではないでしょうか。(撮影・文章=和歌山市 南川陽一さん)
高津子山の春
国立公園和歌の浦はかつて、関西の新婚旅行のメッカとしてにぎわいました。『新和歌の浦小唄』に歌われた見晴らしが最高の高津子山へはロープウェーがあり、頂上には回転展望台がありました。和歌山市の市街地、四国、淡路島、紀伊水道と360度の景色を見渡すことができます。今は簡単な展望台だけですが、景色はほとんど昔のままです。遊歩道があるので、桜の季節、ちょっとしたハイキングに毎年登っています。一時は桜も少なくなっていましたが、ボランティアの方々の努力により見事な花を咲かせています。春にはぜひ、多くの人々にこの景色を楽しんでほしいです。(撮影・文章=和歌山市 松村金作さん)
片男波
一昨年末に左目を患い、県立医大で手術をし、昨年の1月まで入院しました。手術後の安静期間は、ちょうどクリスマスから大晦日、お正月で、病室から出られず、外の景色を見られないうっとうしい気持ちのまま、年を越しました。年が明け、安静が解けて初めて病院のデイルームから、右目からですが見えたのは、眼下にまぶしいばかりに広がる風光明びな片男波の風景でした。その美しい風景に感動と感謝を感じると共に、すがすがしい気持ちになりました。人の心にいやしを与える片男波は、ぜひとも後世の人達にも残していきたい景色です。 (文章=岩出市 楠本るりさん)
串柿の里 四郷
かつらぎ町の四郷は400年も前から串柿の特産地として、歴史と伝統を育んできました。四郷とは東谷、平、滝、広口の4つの村の総称です。のどかな山里からは眼下に紀の川の清流、はるか彼方に龍門山、高野山、大峰山を眺望できます。1本の串の両端に2個ずつ、真ん中に6個、計10個の柿を刺している串柿には「夫婦ニコニコ仲睦まじく」という思いが込められています。(撮影・文章=和歌山市 野田謙二さん)
あかね色をした柿の玉のれんが並ぶ
(ニュース和歌山2015年2月25日号掲載)