minakatasin◆循環器内科

みなかた クリニック 南方 常夫院長

A. IgG4関連疾患は、免疫反応の異常により、血液中の免疫グロブリンG(IgG)のうちIgG4という成分が上昇し、臓器が腫れたり組織が厚くなったりする病気です。日本が世界に先駆けて研究に取り組み、14年2月に開催された「国際IgG4関連疾患シンポジウム」で、公式の病名として採用されました。

 IgG4関連疾患は、発症する臓器によって症状が異なり、唾液腺や涙腺だと左右対称の腫れ、下垂体だと視野の異常や血圧低下・脱毛、膵臓だと黄疸や軽い腹痛、肺だと息切れやしつこい咳、大動脈だと炎症性大動脈瘤等が現れます。症状が多彩なため、かつては単一臓器の疾患と考えられたり、鑑別の難しさから悪性疾患や感染症、炎症性疾患等と診断されたケースもありました。とくに自己免疫性膵炎においては膵臓がんとの鑑別が問題となります。ご質問者様の症状は、以前はキュットナー腫瘍やミクリッツ病、シェーグレン症候群の一種として取り扱われてきました。

 治療は、ステロイド剤がよく効きます。とくに唾液腺や涙腺に症状がある場合は、他臓器の病変や合併症の発見につながることもあり、早期治療が重要です。主治医とよくご相談ください。

(ニュース和歌山2015年3月28日号掲載)