◆消化器外科・大腸肛門外科
大腸肛門病専門医 日本外科学会専門医
福外科病院 福 昭人院長
A. 痔裂肛(切れ痔)のようですね。
裂肛は、排便時に痛みと出血が見られる一般的な肛門疾患です。肛門の奥にある歯状線と肛門縁の間にある、肛門上皮が裂けて起こります。
裂肛には、自覚症状が出てから数日〜数週間程度の「急性裂肛」と、急性裂肛が改善せずに徐々に症状が悪化していく「慢性裂肛」があります。発症は40歳ぐらいまでの青壮年に多く、男女差はありません。
ただし、区別しなければならない疾患もあります。肛門痛のある病気には血栓性外痔核や肛門周囲膿瘍が、切れて潰瘍を起こす病気には結核、梅毒、白血病、エイズ、クローン病等の症候性裂肛のほか、肛門管がんなどの悪性疾患があります。
急性裂肛は大半の場合、内科的治療で治ります。慢性裂肛へ悪化する人は、ひどい便秘だったり、お尻を締める筋肉(内括約筋)の緊張が強い人が多いといわれます。外科的治療を要することもあるので、日本大腸肛門病学会認定の専門医による加療をお勧めします。
(ニュース和歌山2015年4月25日号掲載)