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 とんこつ醤油ラーメンで人気の中華そば店「丸田屋」が4月、ぶらくり丁近くの和歌山市北新にオープンした。井出商店で修業した店主の丸田征吾さん(33、写真右)が岩出に1号店を2002年に立ち上げ、3店目は市街地へ打って出た。和歌山の味として知名度が高まる中華そばを育ててきた丸田さんと、ぶらくり丁店の岡優希店長(23、同左)に出店にかけた思い、中華そばへのこだわりを尋ねた。 (文中敬称略)

井出商店で修業

——とんこつ醤油のスープが人気です。

丸田 和歌山の老舗、井出商店さんの味が大好きで、幼いころから親によく食べに連れて行ってもらい、小学生時代から夢はラーメン屋さんでした。高校卒業後、井出商店さんでラーメン作りを一から教わりました。商売人の心得や道具の扱いなど、人としても育ててもらい、20歳で独立。不安もありましたが、常連さんが増えるにつれ自信をつけてきました。

——完成した味は。

丸田 井出商店さんでの経験をもとに、アレンジを加えました。長時間炊き込んでも雑味が出ないよう、とんこつと鶏がらを丁寧に下処理しています。8時間以上強火でじっくり炊き込んだスープに、しょうゆダレを混ぜ、見た目はこってりですが、あっさりした風味に仕上げています。

市街地へ初出店

——4月にぶらくり丁へ出店しました。

 これまで岩出市、和歌山市次郎丸と郊外に店を出していました。市街地は車以外で和歌山を訪れる人がいます。そういった人たちに丸田屋の味を知ってもらおうと、ぶらくり丁へ。お客さんが食べに来てくれて、少しでも街の活性化の力になれるとうれしいですね。

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——店のこだわりは。

 丸田屋のコンセプトは「味・接客・雰囲気」の3拍子。岩出や次郎丸と違い、飲み会やイベント帰りのお客さんが多い。女性や子どもにも親しんでもらえる中華そばを提供し、深夜に来てくれるお客さんも満足できる店にしたい。

——サイドメニューも充実しています。

 地元和歌山のしらす業者「山利」さんの新鮮な釜揚げしらすを使ったどんぶりや、生卵とかつお節にオリジナルのだし醤油を使ったたまご飯が人気です。早すしやゆで卵もあります。 

——自社の製麺所も設けたと聞きました。

丸田 昨年9月に造りました。粉の配合や加水率を調整し、歯ごたえや味を自分たちの好みに近づけました。中細のストレート麺で、スープをたくさん麺の中に含みながらも伸びにくい、コシのしっかりした麺です。

人づくりにも力

——店を構える上で大切にしていることは。

丸田 おいしいのは当然で、それだけではだめだと思います。商品をどういう環境で、どういう風に提供するかが大切です。そのためには、お客さんと接するスタッフの育成が欠かせません。あいさつや接客マナーといった〝当たり前〟の行動の中にある大切なことを実行できるチームをつくろうと心がけてきました。初めは面倒そうな表情をみせるスタッフもいましたが、その経験が仕事以外でも生き、社会人として大切なことだと理解してくれています。

 スープのダシは生き物。毎日同じ作業をしても少しずつ味が変わります。その難しさが面白さであり、やりがいでもあります。毎日食べても飽きない、食べたくなる味を常に意識しています。

——今後の展望を。

丸田 安心感のある店をじっくり一歩ずつ増やし、丸田屋の中華そばをもっとたくさんの人に食べてもらいたいですね。

【丸田屋ぶらくり丁店】和歌山市北新5-35-1 午後5時〜翌午前3時 月曜定休 ☎073・423・1245

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(ニュース和歌山2015年5月27日号掲載)