南アフリカを飛行機で脱出し、東欧の11ヵ国(オーストリア、チェコ、スロバキア、ハンガリー、クロアチア、ボスニア、セルビア、ブルガリア、ルーマニア、モルドバ、ウクライナ)を回りました。今回は旅の愉しみの一つ、「食」を中心にいくつかの国を紹介します。
オーストリアのウィーンは、自転車と街が一体化し、自転車で走っていてもストレスを感じなかった初めての都市です。
そんな街で面白かったのは日本食材の多さです。海外で日本食材が手に入る店は、アジア食材店ですが、ウィーンには日本食材のみを販売する店がいくつもありました。お米、のり、ワサビ、豆腐、納豆、わかめ…、何でも手に入ります。久しぶりに日本米で作ったおにぎりが食べられると興奮しました。そしてその店には、日本人ではなく多くの現地人が買いに来ていました。ブロンドヘアーのお姉さんが冷凍枝豆を大人買いしているのを見たときは笑ってしまいました。日本食レストランも多く、日本食ブームが起こっていました。
東欧には、日本食と類似した料理がたくさんあります。東欧各地で売られているザワークラウトというキャベツとニンジンの酢漬けは、日本のなます、小さな玉ねぎのピクルスは、ラッキョウ漬けとそっくり。名前、食材、由来は異なっても、欲する味は世界共通なのです。
東欧の食の一大イベントは、世界三大珍味の一つ、フォアグラを食べることです。ハンガリーはフォアグラの生産量が世界2位で、市場へ行くと、生のフォアグラが格安(1㌔1500円)で手に入ります。しかし、切り売りではありません。約1㌔のフォアグラ(ガチョウの脂肪肝)をドーン!と手渡される衝撃はものすごかったです。
フォアグラは脂肪なので、火にかけると溶ける、溶ける。火加減を調節して焼き、フォアグラソテーとフォアグラサンドの完成! さらに、溶けた脂を使ってポテトを揚げ、上品な香りがする世界一高級なフライドポテトを作りました。
今まで欠片しか食べたことが無く、本来のフォアグラの味は知りませんでした。味は普通のレバーとは別次元、一口食べるととろけるような深く濃厚な味わいでした。肉の脂の美味しいところを凝縮した感じでしょうか。ポテトがこれまた美味しい。こんなにも香り豊かなフライドポテトは食べたことない。「これが世界最高級の脂か」と納得。しかし、いくら良い脂でも食べ続けるのには限度があります。最後には言葉を失い、もうフォアグラなんか見たくない状態に。珍味は大量に食べるものではないと確認できました。
陸続きの東欧の国々も国境を越えると食が変わります。物価が日本より安く、長期滞在して現地の料理を作ってみたり、外食したり…。まったりした生活を送るには最高な場所でした。
写真 この記事上から=久々のおにぎりに喜ぶ筆者、フォアグラを厚切り、香り豊かなポテト
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自転車で世界一周の新婚旅行に挑む辻陽平さん、夕佳さんの連載は奇数月の第3土曜号掲載で次回は11月21日号。
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(ニュース和歌山2015年9月19日号掲載)