選挙権年齢が18歳に引き下げられ、7月10日(日)投開票の参議院議員選挙から若い世代の有権者が増える。6月22日(水)の公示を前に、和歌山選挙区から立候補を予定している自由民主党の現職、鶴保庸介氏(49)、幸福実現党の西本篤氏(46)、無所属の由良登信氏(64)にそれぞれの政治理念や考え方を聞いた。
今回は、新たに選挙権を得た18、19歳から質問を募り、若者たちが直面する課題や素朴な疑問、要望を投げかけた。回答は次の通り。(掲載は50音順)
【質問1】子どもや学生のために約束できる政策を一つ、具体的に挙げてください(高校生、永山礁太さん)
鶴保氏 働き方改革を断行し、「同一労働同一賃金」を実現します。同じ仕事をすれば正規・非正規関係なく同じ賃金をもらえる働き方で、欧米では一般的。非正規雇用者の賃金水準は正規雇用者の6割程度とのデータがあります。格差は非常に大きく、低賃金が壁となり、結婚、出産に踏み切れない若者が大勢います。非正規雇用者の不合理に低い賃金水準を是正し、生活水準の底上げを図ります。
西本氏 若者世代には疑問がいっぱいあると思います。疑問は発明の元手です。知りたいことが全部学べるようにしたい。新しい時代を創造する主役として、日本や地球の未来について、柔軟な発想でダイナミックに考え、アイデアを出し実行できる機関(地球人プロジェクト)をつくりたい。そのために必要な先生、知識、環境を存分に与えたい。成功する幸福を味わってもらえるようにしたい。
由良氏 安倍政権は「戦争する国づくり」に暴走しています。安保関連法は自衛隊をいつでも海外派兵して武力行使できるようにするものであり、日本が武力攻撃を受けた時の備えではありません。再び戦争する国にしないために安保関連法の廃止に全力を上げます。憲法をふみにじる政治を止め、憲法9条の改憲に反対して日本の恒久平和主義を守り抜きます。もちろん徴兵制は導入させません。
【質問2】18歳選挙権についてご自身の受け止め方や考え方をお聞かせください。(専門学校生、室谷厚志さん)
鶴保氏 少子高齢化・人口減少社会を迎えた日本で、自分が社会の一員であるという意識を若い世代が少しでも早く持つきっかけとなる意味は大きい。世界的にも18歳以上が選挙権を持つ国がほとんどです。これまで投票にあまり行かない若年層を対象にした政策は、後回しになってきたことは否めません。皆さんがしっかりと投票に行き、声を上げていただければ、国の政策は必ず変わります。
西本氏 選挙権があることは、自分の1票が、国や社会や自分自身の未来の運命を決める重大な力があること。選択の責任にプレッシャーを感じるかもしれないが、非常に面白味もあり、やりがいがある。実際に自分の人生や、和歌山、そして、国や地球の未来を創(つく)っていく主役になれるということ。
由良氏 18歳選挙権の実現に賛同してきました。日本の進路や社会のあり方を決めるのに、青年の意見を聞くことがとても大切だと思っています。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどは1969年~70年代に選挙権年齢を18歳に引き下げ、すでに世界の150ヵ国以上が18歳選挙権となっています。主権者として政治に参加する最も大事な場が投票です。投票によって政治は変わります。
【質問3】学生の奨学金について、給付型を増やす政策はお考えでしょうか。(大学生、加納佑哉さん)
鶴保氏 給付型奨学金制度の創設に向け、しっかり進めます。経済状況にかかわらず、学ぶ意欲と能力のある全ての若者が質の高い教育を受けられる社会を作らねばなりません。また、無利子奨学金の採用枠拡大や、返還月額が所得に連動する制度を定着させることで返還の不安を軽くし、学業に集中できる環境を作ります。
西本氏 授業料が高くなり、収入も大して上がらず、また雇用も不安定という現代においては、ひとまず、給付型を増やすことも必要と考えます。ただし、給付型、貸与型を問わず、それが当たり前にならないように、自尊心や誇りを見失わないよう促すことも大事だと思います。
由良氏 学生の2人に1人が奨学金を借り、返済に苦しんでいます。経済的理由で教育を受けることを断念せざるを得ないことは、あってはなりません。高い大学の授業料(国立年53万8000円、私立平均86万円)を段階的に無償化すること、給付型奨学金の創設、既卒者の奨学金返済の減免制度に取り組みます。
【質問4】今春、高校を卒業し、働き始めました。明細を見ると年金がたくさん引かれていますが、将来私たちは年金をもらえるのでしょうか。(会社員、川端龍斗さん)
鶴保氏 「もらえないから、納めても意味がない」と思うかもしれませんが、きちんと納付している人は間違いなくもらえます。年金制度は税も支えており、破たんはありません。ただ、経済状況や人口推移により、給付開始年齢の上昇、給付額の減少はゼロと言えません。景気回復、少子化対策もしっかりと行います。
西本氏 一層の経済成長で、年金はじめ社会保障費を増やせます。小さな政府・減税路線(消費税減税・廃止、贈与税・相続税廃止)を敷けば、消費が活性化され景気が上向きます。規制緩和と未来産業投資で民間活力の支援制度を導入して年3%以上の経済成長を果たし、自然税収増により社会保障費を担保します。
由良氏 年金保険料を払っても、本当にもらえるか不安になる若い方は多いと思います。政府が年金保険料を引き上げ、支給開始年齢は先延ばし、支給額は引き下げる政策のため、当然です。年金引き下げ政策を中止させ、国負担で最低保障年金制度をつくり、保険料は上乗せとして給付される年金制度にすべきです。
3氏のプロフィール
(座右の銘 ②趣味 ③自分を動物にたとえると ④好きな言葉 ⑤力をくれる曲 ⑥政治信条)
東京大学卒。代議士秘書を経て1998年に参議院議員初当選。現在3期目。
①百術は一誠に如かず(※どれほど権謀術数をめぐらそうと、一つの誠意を貫くことに勝るものはない)
②ハンドボール、サイクリング、テニス、ゴルフ、読書、映画鑑賞
③犬
④遠図(※遠大なはかりごと)
⑤銀河鉄道999
⑥百術は一誠に如かず
西本 篤(にしもとあつし)
追手門学院大学卒。1998年に幸福の科学へ。現・幸福実現党県本部副代表
①人を愛し、人を生かし、人を許せ
②テニス、ラーメン屋巡り、ご当地グルメ探索、海・山でまったりすること
③犬と鷲(わし)のハーフ
④地球人としての意識に目覚めよ
⑤君が代
⑥至誠にして動かざる者は、未だ之れ有らざるなり
由良 登信(ゆらたかのぶ)
中央大学卒。1986年に弁護士登録し、現在、ゆら・山﨑法律事務所長
①事実の力
②囲碁将棋、みかん・ポンカン・梅の栽培、ネコと一緒にゴロ寝
③動物ではないですが、「アンパンマン」と言われます
④明日はもっと美しい
⑤昴(すばる)
⑥一人ひとりが人として尊重され、安心して暮らせる社会をめざす
参院選公開討論会
6月20日(月)午後6時、岩出市宮のホテルいとう。主催は大学生、教員、建築士ら10数人でつくる「わかやま夢スクール」実行委。高校生が考え、実行委が選んだ質問を予定している。定員300人。無料。橋本さん(073・431・2339、郵政クラブ内)。
(2016年6月18日号掲載)