怖さ:4 町の妖怪 出没地域:有田市

20161022_yk
 有田市椒浜(はじかみはま・初島周辺)に肝の太いのが自慢の男がいた。大の酒好きで、毎晩、仕事の帰りに居酒屋へ立ち寄る始末。ある夜のこと、例によって酒をくらい、千鳥足で墓場を通りかかった。いつものように暗い墓地の奥へどなる。「やい、鬼でも何でも出てこい。ひねりつぶしてくれるわ」。すると、どこからともなく生臭いにおいがしてきたかと思うと、目の前に一本の丸太のようなものが突き出てきた。「なんじゃい」。そうつぶやきながら触ると、火のように熱い、毛だらけの鬼の足ではないか…。彼はとたんに腰を抜かし、這(は)うように逃げ帰った。それからは肝が太いのを自慢しなくなったという。

…   …   …   …   …   …

 妖怪をこよなく愛する和歌山市の漫画家、マエオカテツヤさんが毎週土曜日、妖(あや)しの世界に誘(いざな)います。

(ニュース和歌山2016年10月22日号掲載)