「雨がしとしと降る晩に、豆狸徳利(まめたんとっくり)持って酒買いに…」。子どものころ、祖父がよく唄ってくれた。歌のとおり、豆狸と酒は深い結びつきがあるようで、酒造りが盛んな地方では、好んで酒蔵に棲みつき、酒蔵を舞台に様々な悪戯をしたらしい。悪戯し、人を化かすにもかかわらず、酒造の業者には崇められ、蔵に豆狸が1、2匹はいないと良い酒ができないとも言われた。広げると8畳もある陰嚢を持ち、自ら陰嚢をかぶって別のものに化けるというタマげたヤツである。
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妖怪をこよなく愛する和歌山市の漫画家、マエオカテツヤさんが毎週土曜日、妖しの世界に誘います。
(ニュース和歌山2016年12月3日号掲載)