春爛漫、舞い散る桜吹雪はどうしてあんなに美しいのでしょうか。陸上で桜を見ると「春が来た」と感じるように、海中でも海藻が輝き出すと春を感じます。
この色鮮やかな〝花〟はケヤリという海藻です。大名行列の先頭などで見られる「毛槍」と似ていることからこの名がついたそうです。ケヤリは日本各地に分布しますが、本来は茶褐色の目立たない色をしています。黒潮が流れる一部の地域限定で、写真のようなメタリックカラーが見られるのです(同種とされていますが、別種の可能性も残っています)。
和歌山ではこの鮮やかなケヤリが白浜から串本まで広く分布しています。特に田辺で数多く見られ、鮮やかに揺れながら咲き誇り、春の訪れを告げています。
(次回は5月24日更新です)
写真=メタリックに輝くケヤリと、近くに巣穴をもつコケギンポ
協力:みなべ、田辺ダイビングサービス L−DIVE
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写真家 塩崎仁美…東大阪市出身。和歌山県内を中心に水中写真を撮影。東日本大震災の被災地でもボランティアダイバーとして活動している。
(ニュース和歌山より。2017年4月12日更新)