この滝を見つけた人が「日本一の那智の滝より大きい滝を見た」と言ったことで、騒ぎになった。なるほど那智の滝のように垂直に落ちる様は似ている。高さを測ると那智の方が、米俵一俵分だけ高いことがわかった。期待した村人はひどく落胆し、日本一が夢まぼろしと消えたことから、「まぼろしの滝」と呼ばれるようになった。
「栃の川の滝」が本来の名前のようだ。落差63㍍で那智の133㍍に及ばない。案内板のある滝見道を行くが、本当にあるのかと思うほど樹海に包まれている。ふいに水の落ちる音が聞こえたと思うと、急に滝が現れる。
時期によって水が地下を流れるため、見に行っても滝が見つからないことがあり、それが一層謎めいた滝にしている。
(ニュース和歌山/2017年10月28日更新)
大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。