《回答者》
◆脳神経外科
貴志川リハビリテーション病院 亀井 一郎院長
脳ドックでは、脳の病気の「始まり」を持っているかいないか、あるいは今後、脳の病気が起こる可能性があるかどうか等をMRIなどでチェックします。例えば▽くも膜下出血を起こす可能性はないか▽知らないうちに脳梗塞を起こした形跡はないか▽脳腫瘍がないか、などがわかります。
くも膜下出血は、脳の血管にできる脳動脈瘤という血豆状のふくらみが破裂して起こります。前もって脳ドックで「未破裂脳動脈瘤」の有無を調べておけば、予防的治療法や生活上の注意点を知ることができます。また、脳梗塞を起こした形跡があれば、それは将来再び発病する危険因子といえます。脳動脈や頸動脈の詰まりそうなところを脳ドックで同時に確認することで、再発の予防策を講じることができます。さらに、無症状の脳腫瘍が見つかった場合は、腫瘍が大きくなって手術が困難になる前に摘出手術を受けるという選択肢をとることもできます。
病院によってはMRIに頸動脈エコーを併用したり、認知機能検査を一緒に行ったりする場合もあります。手術で治る認知症の有無もMRIでわかります。中高年の方は少なくとも複数年に一度、脳ドックを受けることをお勧めします。
(ニュース和歌山/2021年1月23日更新)