《回答者》
◆整形外科
手・足の外科センター手外科専門医
貴志川リハビリテーション病院
副院長 谷口泰德センター長
肘を曲げて携帯電話を使ったり本を読んだりする時に小指と薬指にしびれを感じるのは、末梢神経の病気で「肘部管症候群」が考えられます。初期には小指と薬指がしびれ、肘を曲げた状態にしているとしびれが強くなることが多いです。進行すると手の筋肉がやせてきたり、小指と薬指が変形し、手指に力が入りません。
肘の内側には肘部管というトンネルがあり、小指や薬指の運動と感覚を司っている尺骨神経が通っています。このトンネルの中で、尺骨神経が何らかの原因で圧迫されたり引っ張られたりして障害を受けると病気が発症します。病院で症状を訴えても、「首(頸椎)の神経が悪い」と言われて、適切な治療がなされていない方もいますので注意が必要です。仕事やスポーツで肘を酷使する人に多く、加齢や子どもの時の骨折による肘の変形も原因になります。
診断は、肘の内側をたたくと小指と薬指にしびれが走るのを確認します。肘のX線検査や神経伝導検査も役立ちます。治療は、薬で症状が軽快しない時は手術となります。手術にはいくつかの方法がありますが、神経障害の原因によって選択されます。詳しくは手外科専門医の先生にご相談ください。
(ニュース和歌山/2021年1月23日更新)