大正期の鼠島貯木場です。『定本紀ノ川・吉野川』によると、和歌山市は江戸時代より紀ノ川の流送を利用した吉野材の集散地でしたが、明治に流通を調節し、市場で有利に取り引きするため奈良の吉野各郷により河口に貯木場が建設されました。

 うち奈良県の高見川・吉野川流域の川上、小川、中荘郷が建てたのがこの貯木場。面積は約7万平方㍍(明治三十八年=一九〇五年)でした。当時、紀ノ川を下る木材の約九割が吉野材で、明治四十年には約百五十万本でした。遠くに荒浜の海岸の松林が見えています。

 紀国堂=和歌山市ト半町=店主、溝端佳則さんの古写真を紹介します。

写真=今は青岸橋やエネルギーセンターが見える

(ニュース和歌山/2021年2月6日更新)