怖さ:4
山の妖怪
出没地域:紀美野町
昔、紀美野町の庄屋の娘が、病床の父のため、毎日のように観音様に願掛けをしていた。ある夜、観音様が夢枕に現れ、「山に棲む大猿がお前を嫁にしたがっている。襲われたら、水がめの中に隠れなさい」と告げた。数日後、大猿が家にやってきた。娘はお告げ通り、水がめに隠れたが、すぐに見つかり、大猿は水がめごと担いで娘をさらった。途中、娘はかんざしを滝に投げ、水がめから外へ出て、「かんざしを落とした。拾ってくれたら、あなたのお嫁さんになる」と言った。大猿は水がめを背負ったまま淵に飛び込むと、たちまち水がめに水が入り、滝壺へ飲まれていった。その後、父の病気はみるみる良くなり、2人はこの滝を「おいつぼの滝」と呼んで、祈りを捧げたという。
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(ニュース和歌山/2021年2月20日更新)