怖さ:2
海の妖怪
出没地域:串本町
昔、串本でのお話。ある寒い日、漁師の家にみすぼらしい旅の僧が訪ねてきた。「外は寒く、空腹で動けない。何か食べる物を頂けないか」と言う。漁師の家では食事を済ませたばかりで、残っていたのは翌日、漁に持って行くための弁当だけ。一食ぐらい抜いても大丈夫だろうと、漁師はその弁当を旅の僧に渡した。僧は深々と頭を下げ、「この沖一里、深さ百尋(ひゃくひろ)の海の底に大石がある。そこに〝おおな〟という大きな魚がいる」と告げて去って行った。春になり、不漁が続いた。僧の言葉を思い出した漁師は半信半疑だったが、言われた場所に行くと、それは見たことのないほどの大物が穫れたという。
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(ニュース和歌山/2021年2月27日更新)