日本唐揚協会主催のからあげグランプリ、中日本のしょうゆダレ部門とバラエティ部門、チキン南蛮部門で計4度、金賞に輝いた岩出市吉田のまんぷく亭。1990年の創業以来、こだわりの味を届ける町の弁当店です。代表の國友聖一さん(56)は「味もボリュームも日本一を目指しています」と話します。

 

しっとりムネ肉

──人気メニューは?

 「7〜8個入りのからあげ弁当(500円)です。一般的なモモ肉よりも高タンパク、低カロリーで、臭みの少ないムネ肉を使っています。宮崎県産の小さくて脂質の良い鶏を厳選し、血の筋まで丁寧に取り除いています。しょう油に、たっぷりのニンニクとしょうがなどを加え、パンチを効かせたタレに、片栗粉ほかを混ぜ、どろっとさせます。この液に肉を一晩漬けて熟成させ、低温の油で6分間熱を通します。ムネ肉のパサつきがなくなり、しっとりジューシーに仕上がります。ワンコインで腹いっぱいになると、若い人はじめ、お年寄りにも人気です」

──賞をたくさんとっています。

 「おかげさまで平日は地域の常連さん、休日は遠方からも訪れます。お客さんの声から生まれた『とりかわせんべい』は、2018年のからあげ日本一決定戦で準優勝しました。皮を1枚ずつ広げた大きいせんべいの形がインパクト十分だったようで、『こんなの見たことない!』と皆さん驚いて投票してくれました。2年前に始めた、モモ肉を使った『ももから』も好評で、今は注文の5割がムネ肉のからあげ、4割がももからです」

 

素人から挑戦

──なぜ弁当店を始めたのですか?

 「もとは電機メーカーのICチップ開発部門で働いており、子どもの誕生を機に、料理の道へ踏み出しました。高校生の時に喫茶店で調理のアルバイトをしてはいましたが、全くの素人からのスタートです。和歌山市内のカフェやレストランで洋食の経験を積み、1990年に独立しました。どんな店にするか考えた時に、当時、個人宅へ配達する弁当店がなく、“ワンコインでまんぷくになる弁当店”を目指しました」

──からあげ以外の弁当もありますね。

 「焼肉やチキン南蛮、のり弁など色々なメニューも用意しているものの、からあげ弁当の注文がほとんどです。メディアに取り上げられたのをきっかけに、各地のイベントへ出店するようになりました。そこで初めて、『おや、他の有名店と作り方や使う肉が違うぞ』と気づきました。からあげとはモモ肉を使い、タレを付けて、粉をまぶし、高温でサッと揚げるとの常識を僕が知らなかったからなのですが。だからこそ、こうした方が絶対においしいと自分が考える味を追求できたと思います」

──今後は?

 「からあげブームもあり、昨年10月から、フォルテワジマの南出入口前にキッチンカーを出店しています。からあげをメーンに、軟骨、もも塩からなどを販売。岩出の本店とは違い、薄衣でサッと揚げています。30年続けられたのは、おいしいと言ってくれるお客さんのおかげです。これからも、おなかも心もまんぷくになる味を提供していきます」

 

【まんぷく亭】
岩出店
 岩出市吉田242-15
 10:00〜21:00 不定休
 ☎0736・62・7775

 

フォルテワジマ店
 和歌山市本町2-1
 11:00〜18:30 不定休

(ニュース和歌山/2021年5月1日更新)