赤、水色、ピンク、3種類の鮮やかな「めでたいでんしゃ」が走る南海加太線の駅について、疑問が届きました。和歌山市のMさん「八幡前駅は、なぜ八幡宮と離れているのにこの名前なの?」です。
 この駅は1912年6月16日、加太線の開通と共に同市古屋に誕生しました。周辺で「八幡」と名がつく神社は3ヵ所ありますが、どこも決して近くなく、「前」と言うには…。
 駅名の由来を確かめるべく、南海電鉄に聞きました。

 


 

開業当時は木本八幡宮と一本道でつながっていた

 「加太線の八幡前駅は、なぜ八幡宮と離れているのにこの名前なの?」。南海電鉄に聞くと、この〝八幡〟は、「木本八幡宮が由来」だそうです。地図を見ると、和歌山市西庄の木本八幡宮は駅のほぼ真北に位置しますが、「前」とつけるにはかなり距離があるような…。


 という訳で木本八幡宮へ。宮司の母、山本佳子さんによると、「駅開業当時、この辺りは一面田んぼで、神社までの道は一本だけ。昔は『目をつむっていても八幡さんにたどり着ける』と言われていたそうです」。なるほど、木本八幡宮以外、目印になるものがなかったんですね。
 以前は日前宮と肩を並べるほど参拝客が多かったそう。まだ車が普及していない時代だったので、電車が必須でした。
 ちなみに八幡前駅から木本八幡宮まで徒歩20分ほど。最寄りの労災病院前バス停留所から約15分。その差5分。さて、皆さんはどっちで行きますか? 写真=駅と神社は直線距離で1・5㌔ほど

(ニュース和歌山/2021年5月8日更新)