水鳥が暮らす島
ペンギンやヒツジなどほ乳類が暮らす童話園のお隣、水禽(すいきん)園では、文字通り水鳥を展示し、ペリカン舎、ツル舎、治療や休養する隔離舎などがあります。また、中央の大きな池には、私たち飼育員が「島」と呼んでいる展示場があります。今回はこの「島」をピックアップしたいと思います。
島には小さいカルガモから大きいハクチョウまで、6種25羽の多種多様な水鳥たちがけんかもせず、のんびりと悠々自適に暮らしています。この島、実はお城とつながりが…。
島にそびえ立つ大きい石組みは和歌山城、そして周囲の池はお堀を表現しているのです。「お城らしさ」をイメージして造られたそうですが、言われてみると確かにそう見えてくる気がします。
この島では夏と冬の年2回、特大イベントがあります。それは大掃除。2日半かけて汚水を抜き、普段なら手の届かない池の底にたまった汚れや水あかなどをブラシでこすり取ってから、きれいな水へ入れ替える作業です。そのため、水鳥を隔離舎へ移動するのですが、彼らは自慢の羽と水かきを使って、私たち飼育員の手からあれよあれよという間に逃げ出そうとするのです。もちろん外に逃がしたりはしませんが(笑)。
どうにか全羽移動した後、島の大掃除が始まります。火曜の休園日に飼育員や関係者計12人が総がかりで丸1日かけて行います。とても広いため、決して楽とは言えませんが、きれいになった水の中で楽しそうに泳いだり、水浴びしたりする姿を見ると、大きな達成感とやりがいを感じます。
写真=優雅に泳ぐハクチョウと木陰で休むカモたち
(ニュース和歌山/2021年7月10日更新)