《回答者》
◆脳神経外科
貴志川リハビリテーション病院
亀井 一郎院長
産婦人科疾患か脳疾患が存在する可能性があります。まず産婦人科を受診してください。婦人科疾患がなければ、おそらく脳神経外科受診を勧められます。MRI精査で脳下垂体に小さな腫瘍の存在を指摘される可能性があります。脳下垂体は頭蓋底部からさらに下に垂れ下がった大きさ1㌢未満、重量1㌘未満の小さな組織ですが、自身が数種類のホルモンを分泌し、また他のホルモンの分泌を調整している重要な部分です。
娘さんの場合、乳汁分泌や妊娠の過程に関与するプロラクチンという脳下垂体ホルモンを過剰に分泌する良性腫瘍の存在が疑われます。腫瘍の大きさは数㍉であっても、そこから放出される過剰量のプロラクチンの作用で冒頭の質問のような症状が出て、結果、妊娠ができなくなります。
この腫瘍の治療については現在、まず薬物療法がおこなわれます。薬物療法が功を奏さない場合や副作用で内服が困難な場合、手術療法が選択されます。手術は、顕微鏡や内視鏡を使って安全に行われます。
若い女性だと病院へは足が向きづらいかと思いますが、早くかわいいお孫さんの顔が見られるように、付き添うなどして病院受診を勧めてください。
(ニュース和歌山/2021年7月24日更新)