《回答者》
◆脳神経外科
貴志川リハビリテーション病院
亀井 一郎院長

 新型コロナウイルス感染症は全くやっかいなウイルス性疾患で、様々な副反応や他疾患の併発に関する論文報告も数多くあります。

 さて、結論から申し上げますと、脳卒中と新型コロナ感染は無関係であるとは言えません。なぜなら、【コロナが怖いから、かかりつけの病院へは行かない→(血圧や血糖降下剤などの)薬を飲まなくなる→高血圧や糖尿病が悪化する→脳卒中のリスクに】といった流れが考えられるからです。

 また、【コロナが怖いから外出をしない→運動不足や栄養が偏る→メタボリック症候群の状態になる→脳卒中のリスクに】といった悪循環に陥ることもあります。

 さらに、新型コロナに感染して重症化すると、脳卒中(特に脳梗塞)になりやすくなるといわれています。
 繰り返しますが、新型コロナ感染症は高血圧、糖尿病、腎臓病、心臓疾患といった持病を持っている方が重症化しやすいとされています。そしてこのような持病は脳卒中のリスクでもあり、「脳卒中の予防がコロナ感染重症化のリスクも下げる」と言えます。

 新型コロナウイルスを正しく怖がること、そして、持病の悪化を防ぐことが肝要です。

(ニュース和歌山/2021年8月29日更新)