怖さ:4
川の妖怪
出没地域:田辺市

 田辺城下を流れる会津川の上流に
「御影の渕」という場所があった。そこには古くから鯰が棲んでいて、大入道に化けては人を驚かせ、渕に引き込んだ。若侍たちは城下の安全を守るため、次々と鯰退治に出向くが、帰ってくる者はいなかった。そこで知恵者と評判の高い侍が立ち上がり、米ぬかを詰めた俵を持って向かった。夜が更けて、御影の渕に到着するや否や、渕から水柱が上がり、侍の何倍もの大きさの大入道が飛び出した。侍は大入道めがけて俵の米ぬかを一心不乱に投げつけた。やがて倒れた大入道は、そのまま干からびた鯰に戻って死んだ。米ぬかが鯰の水分を吸ってしまったのだ。

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(ニュース和歌山/2021年9月18日更新)