《回答者》
外 科
楽クリニック
藤田 定則院長

 血液だけの場合はもちろん、血便も含め、肛門から血液成分が排出されること全てを「下血」と呼びます。

 一般に、排便中にポタポタ血が出る時は、いぼ痔(内痔核)や切れ痔(裂肛)を疑います。痛みを伴うのであれば、切れ痔の可能性が高いでしょう。しかし、下血は、口から肛門までの消化器官のどこかを出血源としますので、様々な原因が考えられ、注意が必要です。  

 排便の有無に関係なく、便器が真っ赤になるほどの出血は、胃・十二指腸潰瘍、虚血性腸炎、大腸憩室、直腸潰瘍などを疑います。

 出血量が多いと、短時間のうちに急激に血圧が低下し、意識喪失の状態になることがあります。血をサラサラにする薬を服用している場合は、さらに緊急性が高まります。下血を認めたら、すぐに救急受診をするようにしてください。出血量が少なくても、がんのような命にかかわる重大な疾患が原因の場合もあるということも覚えておいてください。

 胃や大腸の内視鏡検査を受けていない方や、大腸がん検診(便潜血検査)を毎年受けていない方で、肛門からの出血(下血)があった時には放っておかず、必ず医療機関を受診し、検査を受けましょう。

(ニュース和歌山/2021年9月26日更新)