《回答者》
◆脳神経外科
貴志川リハビリテーション病院
亀井 一郎院長
リハビリテーションには、「理学」「作業」「言語聴覚」の3療法があり、それぞれ専門の療法士が訓練にあたります。このうち「作業療法」は、日常における様々な生活動作、人間としての器用な作業の支援および訓練を行う療法です。理学療法で大きな筋力を鍛え、作業療法で実生活における細やかな手足の動きの回復を図ります。
作業療法士の主な職務内容は次の通りです。①脳卒中後、手足の麻痺があると、衣服の着脱や便座に座るときも大変苦労します。移動、食事、排泄、入浴等の【日常生活活動訓練】で、身体機能の向上を目指します。②包丁や箸使い、車への乗りこみに始まり、飲み薬をシートから外す動きまで、日常の動作には実は様々な機能が必要です。【日常生活動作訓練】で、家事、外出、買物等を行う機能の回復を促します。③退院して自宅に戻ると、以前は気づかなかった浴槽の段差に苦労することがあります。【住環境への適応訓練】で、機能の改善と日常生活に必要な運動能力を高めます。
また、作業療法士は言語聴覚療法士とともに高次脳機能(記憶、計算、集中力等)の改善を目指す治療も行います。以上のように、作業療法は運動機能から高次脳機能まで、幅広く治療するリハビリテーションです。
(ニュース和歌山/2021年11月27日更新)