大谷山22号墳は、特別史跡岩橋千塚古墳群の北西にある大谷山山頂に位置しています。この古墳は6世紀前半に造られたと考えられており、全長約80㍍の平面形が盾形をした基壇(※)の上に、墳長(※)約68㍍の前方後円墳が造られています。墳長は、天王塚古墳(88㍍)、大日山35号墳(86㍍)に次ぐ規模を誇ります。墳丘や基壇の上には、埴輪がたて並べられていたことが判明しています。

石室内

 さらに、基壇の南側には「別区」と呼ばれる方形の平坦面がついており、そこからは馬形埴輪などの動物形埴輪や巫女や武人をかたどった人物形埴輪など多種多様な埴輪が発見されています。また、これまで大日山35号墳でしか見つかっていなかった翼を広げた鳥形埴輪が近年、発見されました。埴輪とともに須恵器などの土器類も出土していることから、別区は祭祀儀礼を行った、または表現した場と考えられます。

 埋葬施設は、石棚や石梁(いしはり)を持つ岩橋型横穴式石室です。石室内からは馬具の一部である杏葉(ぎょうよう)、入口付近では葬送儀礼に用いられたとみられる須恵器が出土しています。なお、出土資料の一部については、和歌山市立博物館で展示されており、ご覧いただくことができます。

武人の顔埴輪(大谷嶺夫氏撮影)

 

 現在、安全対策のため石室入口に柵を設置しており、内部を見学いただくことはできませんが、紀伊風土記の丘の古墳公開などのイベントでは、横穴式石室の中へ入れる機会を設けていく予定です。どうぞ楽しみにお待ちください! 

(和歌山県立紀伊風土記の丘学芸員 金澤舞)

※基壇=古墳を造る基礎の土盛り ※墳長=古墳そのものの大きさ。基壇は含まない

(ニュース和歌山/2022年12月25日更新)