和歌山の酒かすを使った新ブランド「紀州酒粕本舗 米白(こめしろ」を2021年12月に立ち上げたのは、紀の川市粉河の季節料理福太郎、藤田真徳さん(47)です。第1弾の「紀州レアチーズケーキ 酒蔵めぐり」を糸口に、酒かすの魅力を広めようと取り組みます。「地元の企業と作り上げた一品です。味や香りの違いを出すため、酒かすを生のまま加えたのが決め手。利き酒のように3種類並べて食べ比べてください」とほほ笑みます。
好相性のチーズと
──スイーツに酒かすを使ったんですか?
「和歌山県内にある3つの酒蔵とコラボしたレアチーズケーキです。名手酒造『黒牛』、𠮷村秀雄商店『大吟醸 車坂』、初桜酒造『初桜』と、代表銘柄を使いました。口に含むと、酒の華やかな香りが鼻の奥から漂います」
──なぜ酒かすを?
「昨年1月末、常連客の縁で酒かす10㌔を手に入れました。生きた酵母の取り扱いは難しいものの、栄養価が高く、“かす”と呼ぶことに違和感を持ちました。コロナ禍で時間に余裕ができ、新商品開発に力を入れていたこともあり、商品化を思い立ちました。試行錯誤の末、同じ発酵食品のクリームチーズと相性が良く、試食してもらったパン店にも好評。手軽に食べられるスイーツを地元企業と考案しました」
──こだわりは?
「ふわっとした口どけのクリーム状にしました。1個に酒かす約10㌘入っていますが、このうち半分は加熱せず、後から生の状態で混ぜます。こうすることで、酒かすの香りや栄養価が残り、酒そのものを食べているようだとの声も。製法や分量は3種類ともすべて同じで、酒の違いが明確に感じられるのも特徴です。『おいしい』だけでなく、『楽しい』『おもしろい』と言ってもらえるとうれしいですね」
県内全酒蔵制覇へ
──なぜ料理人に?
「父が始めた寿司店を継ぐためです。魚店と割ぽうで修業した後、父の店へ入り、一品料理を強化しました。女性客中心におまかせ料理の注文が増え、店を任された2008年、和食メーンのコース料理を提供する完全予約制に。おまかせコースや彩り御膳弁当には、地元で採れた新鮮な季節の野菜や魚などを使います。凝り性なので、従来の調理法はもちろん、良い味を提供するため作り方を工夫したり、最新の調理器具を使ったり、常に挑戦しています」
──今後は?
「レアチーズケーキは県内全酒蔵のセットを目指します。また、試作中の第2弾、酒かす冷菓を完成させ、夏に販売します。これからも地元に必要とされる店であり続けたいです」
【季節料理 福太郎】
紀の川市粉河980-1
11:30〜14:00、17:00〜22:00(※現在、夜は休業中)
定休日:㊋、㊐の夜
☎0736・73・6981(要予約)
レアチーズは店頭のほか、和歌山市西庄のKANOWA、岩出市畑毛の酒のねごろっくでも販売
(ニュース和歌山/2022年1月22日更新)