県産オリーブのフレッシュなエクストラバージンオイルを届けたい」と夢見る、和歌山市の能阿弥淑実さん(52)。子育てが一段落した昨年、全国一の特産地、香川県を繰り返し訪れて栽培方法を学び、紀の川市貴志川町の高台でオリーブ農園づくりを進めています。思いを聞きました。

 

初めて抱いた夢

 

──なぜ農園を?

「数年前、高齢になった父から、白菜やキャベツを作っていた畑3000平方㍍の面倒を見てほしいと相談されたのがきっかけです。子どものころから休日になると手伝いに足を運んでいたなじみのある場所です。昨春、末の娘が大学へ進学し、子育ての手が離れたこともあり、体が元気なうちにと動き出しました」

──和歌山でオリーブ園は珍しいですね。  

 「農地を引き継ぐと決めたものの、毎年タネから育てる野菜づくりは未経験の女手には大変です。どうすれば無理なく長く続けられるか考え、果物王国・和歌山にちなみ、果樹園をすることに。ミカンや柿、桃、イチジクなどプロの農家さんがたくさんいますが、オリーブはほとんど聞きません。私自身、料理が好きで、オリーブ油をよく使っていたこともあり思い立ちました。生まれて初めて抱いた夢です」

──どんな苦労が?  

 「栽培技術を学ぶため、インターネットで見つけた農園に、『何でもするので教えてください』と頼み、県外の大学へ進む末娘の引っ越し後、すぐフェリーに乗って小豆島へ。その後も、時間を作っては小豆島と高松の農園を何度も訪れ、収穫や油しぼりなどひと通り経験しました。地中海気候に適したオリーブ栽培が紀の川市でうまくいくか不安はありましたが、昨年4月、苗50本を購入し、風通しの良い高台の畑へ植えました。数本は枯れたものの、わずかに実が付き、新芽も出たので、可能性はあると感じています」

 

人が集う農園に

 

──オリーブの魅力は?  

 「健康志向の高まりでスーパーにはオリーブ油のコーナーが増えています。どんな料理にも合う上、体のためにエクストラバージンオイルを毎日飲む人も。でも、鮮度が重要で海外ものだと輸送中に酸化し、本来の風味がなくなってしまいます。香川県の農園で飲んだしぼりたてはとてもフルーティーで、『これが本来の味なんだ!』と感動しました」

──今後は?  

 「若くして結婚し、これまで3人の子育てと、夫の建設会社の仕事で自分が何をしたいか考えたことはありませんでした。せっかく抱いた夢。『考えるよりまず動く』を信条に、突き進みます。オリーブの木が生いしげる園地を目指し、まずは今年、追加で20本を植えます。また、集まった人に手造りピザ窯で料理を振るまったり、キャンパーが泊まったりできるよう設備を整備中です。将来は和歌山産バージンオイルとしてブランド化させたい」

 

親子でピザ窯DIY&オリーブ植樹体験

2月13日㊐午後1時、紀の川市貴志川町前田の農園「オリーブオリーブ」。先着6組。無料。申し込みはボックスゼロ(080・1416・1870、メールbox0.runacafe@gmail.com)。

 

(ニュース和歌山/2022年1月29日更新)