創業145年の老舗、べにや呉服店(和歌山市西布経丁)の若女将、旭真友梨さん(37)。着付けや手入れが難しいと着物離れが進む中、洋服のように着られる「キモノウェア」を考案、1月17日に発売しました。国内外問わず和装文化普及を目指します。
和洋折衷
─キモノウェアとは?
「上下をカーディガンとロングスカートに分け、洋装の着やすさを和装に取り入れました。着物として楽しむなら、Tシャツタイプのじゅばんを着た後、スカートをはき、カーディガンを羽織ります。あとは半幅帯などを結ぶだけで完成。一人でも手軽に短時間で着られますよ」
写真=見た目は昔ながらの着物と変わらない
──手入れが大変では?
「肌触りが良く、着心地の良い県産のメリヤス生地を使っており、洋服と同様、家で洗濯できます。伸縮性があり、シワができても目立ちにくいのが特徴です」
──製作時の苦労は?
「着物の見た目を保ちつつ、どこまで手軽に着られるか、そして手入れが楽になるか、ほどよいポイントを探るのが大変でした。着物の形に近づくスカートのフィット感、普段使いしやすい生地など、着物と洋服、それぞれに精通したメンバーと一緒にデザインを追求しました」
──実際に着た人からの感想は?
「『ひもを使わず、気軽に着られてうれしい』『従来の着物と比べ、着ていて楽。それでいてシルエットが美しい』と満足いただいています」
すそ野広げる
─なぜ作ろうと?
「呉服店に生まれた私にとって、着物は日常のものです。しかし、呉服の市場規模は最盛期だった1980年代から、今では8割も落ちています。この状況を小学生のころから心配していました。2019年秋、知人から海外の人向けに『だれでも簡単に着られる着物を作ってほしい』と依頼され、着物文化の復活につながるかもしれないと、開発に取りかかりました」
──昨年12月にクラウドファンディングで先行販売したそうですね。
「目標としていた50万円を超え、120万円のご支援をいただきました。特に20〜40代が多かったですね。まずは若い人や、着物を持っていない人に手にとってもらい、そこから和装文化のすそ野を広げていければと思います」
──今後は?
「今はレディースしかありませんが、メンズも作ってほしいと要望が多く、春に追加予定です。簡単に締められる帯も年内を目標に開発中です。多くの日本人にとって着物は身近だったはず。その時の感覚に戻す作業が、着物文化復興に結びつくと考えています」
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(ニュース和歌山/2022年2月5日更新)