和歌山城を一望できるダイワロイネットホテル和歌山。レストランと婚礼・宴会の場で腕をふるうのは、調理部洋食のチーフ、田中智彦さん(37)です。季節の食材を使った華やかなひと皿が、訪れる人を笑顔にします。「心掛けているのは、お客様にとって特別な日に会話が弾む料理です」と熱を込めます。

地元食材こだわり

──人気の料理は?

 「魚や肉、野菜、果物など和歌山の食材を組み合わせた『和歌山コース』が好評です。元々、県外からの宿泊客向けプランでしたが、昨年は県民対象のリフレッシュプランで、1日に150人以上が来てくれました。地元の人に和歌山の食材の良さを知ってもらう機会になりました」

──こだわりは?

 「梅酢入りのエサで育った紀州梅鯛が毎日、白浜から届きます。皮目だけ火を入れ、バターで蒸し焼きにすることで、外はパリッ、中はふっくらと、鯛の甘みを味わえます。肉は紀州梅豚とみかんどり。それぞれ梅酢とみかんの果皮入りのエサを与えた地元産です。かたまり肉を調理する際は、150度のオーブンで数分焼いて寝かす手順を繰り返します。丁寧に火を通し肉汁を閉じ込めるので、しっとりした舌触りと肉のうま味をたん能いただけます」

──味の決め手は?  

「野菜や果物の使い方です。フレンチのソースは重いイメージですが、その仕上げにバターではなく、野菜のピューレを使って甘みを出します。秋に出した前菜料理には、柿とクリームチーズに、りんごのバルサミコ酢で酸味を加えました。これからの時期は豆類が旬です。スナップエンドウのピューレでスナップエンドウや枝豆を和え、焼いたそら豆を添える豆づくしのひと皿を準備しています」

 

組み合わせ探求

──なぜ料理人に?  

 「和食店を営んでいた両親の影響です。ロイネットはオープン時から勤め、16年。婚礼・宴会料理を有名店のシェフが監修していた時期があり、県外の様々なシェフから料理への考え方や調理技術を教わったことが、今のこだわりにつながっています。ワインに合う食材を調べるため、飲めなかった酒を飲み、組み合わせを探求しています」

──研究熱心ですね。  

 「誕生日や結婚記念日、プロポーズといった特別な日に選んでくださる人が多く、大切なひと時を満足してほしいですから。メニューや盛り付けには力が入ります。特に喜ばれるのは、細切りしたじゃがいもを鳥の巣のように配置し、卵の殻を器にした洋風茶碗蒸しを盛り付ける一品です。この料理を出せば話が弾むんじゃないか、どうすれば食事の時間が楽しくなるか常に想像しながらメニューを考えています」

──今後は?  

 「コロナ禍でもホテルの味を家庭に届けたいと、和洋折衷の弁当3種やデザートなど、テイクアウトにも力を入れています。バイキングをオーダースタイルにしたことで、出来立てを食べられると人気です。おいしいのはもちろんのこと、お客様の会話を盛り上げられるホテルの味を提供したいです」

 

【モンティグレ ダイワロイネットホテル和歌山 サンクシェール】

和歌山市七番丁26-1 ☎073・435・0390(要予約)
7:00〜10:00、11:30〜14:30
14:30〜17:00、17:30〜21:30
※カフェ・ディナーは㊍〜㊐

(ニュース和歌山/2022年2月26日更新)