怖さ:4
池の妖怪
出没地域:白浜町
白浜町、椿温泉近くの朝来帰に大きな池があった。この池の主は大蛇だった。ある時、一人の若者がこの池の堤に草刈りに行った。水際で鎌を研いでいたら、池から小さな蛇が浮かび上がってきて、男の足に噛みついた。踏み潰そうとしたが、かつて古老に「年を経て神通力を持った生き物は、姿を小さく見せて相手を油断させ、いきなり襲ってくる」と聞いたことを思い出した。もしやと思い、男は研ぎたての鎌で切り裂いた。すると、小さな蛇はみるみる大蛇と化して、のたうちまわったあげく静かになった。辺り一面に広がる血の海は、やがて大雨に流されていった。血は不思議と良い匂いだったそうだ。
… … … … … …
妖怪をこよなく愛する漫画家、マエオカテツヤさんの『和歌山妖怪大図鑑』、主要書店で発売中です(税込み1017円)。
(ニュース和歌山/2022年3月5日更新)