自称〝世界一周アーティスト〟。20代のころ、世界中のグラフィティ(落書き)を見る旅に出た和歌山市のLIRIOさん(41)は、訪れた国の文化や人との出会いから感じたものをペン1本で描いて回りました。4月29日㊎~5月1日㊐、旅をテーマに個展を開きます。「世界に触れ、アートは生活に身近だと感じてもらえれば」と笑みをこぼします。

模様に魅せられ

─展示作品の特徴は?

 「モチーフはインドの神様、ガネーシャや、オランダのフンデルトヴァッサー建築、イースター島のモアイ像など。世界を旅した先で描いた絵です。スケッチブックと油性マーカーを手に、宿や移動中の乗り物、時には道端に座り込んでスケッチしました。何日もかけて完成させたり、途中でとめて別の国で線を加えたり…。下絵なしの一発描きでグラフィティに近く、作品はこれにパソコンで着色しました。最近のものもありますが、全て旅がらみ。世界を感じてもらいたいです」

──いろんな模様が入っているのが印象的です。

 「昔から模様や柄に興味があり、和歌山大学の卒業研究は、『柄が人に与える印象』がテーマでした。民族衣装の柄、肌に描くヘナタトゥーなど、世界には地域や人々ならではの伝統的な模様があります。作品には、それぞれの地域や人から感じたものを模様にして描き込んでいます」

10年ぶり再始動

──アーティストを目指したきっかけは?

 「27歳の時、ポップカルチャーにあこがれ、ニューヨークへ1年間留学しました。そこで壁やシャッターへ描くグラフィティに芸術性を感じました。あちこちの落書きを探し歩こうと世界一周の旅へ。31ヵ国を回り、アートは美術館だけでなく街中にあふれていて、生活と切り離せないと実感しました。日本はアートを遠い存在と感じる人が多いので、身近にするため、帰国後に出身地の香川県でアートプロジェクトを始めました」

──どんな活動を?

 「知り合いの倉庫を拠点に、壁へ絵を描き、舞台芸術作家と2㍍の人形を作り、天井から吊り下げました。全国のアーティスト約100人とつながり、イベントを毎月開催。3年ほど活動し、密度の濃い時間でしたが、結婚・子育てのため30歳で一区切りつけました。再び和歌山で暮らし、10年を経て再始動します」

──今後は?

 「近年、話題のVR(仮想現実)空間で作品を展示販売します。和歌山にいながら世界の人に見てもらえます。クラフト作家の多い和歌山はアートの潜在能力があります。アートを通じて子どもたちの創造力を高めるため、自分の作品づくりと、他のアーティストを後押しする活動の両輪で進め、週末は様々なアートイベントやワークショップが県内各地で行われるようにしたいです」

旅×ART

 午前10時半~午後5時、和歌山市明王寺の四季の郷公園向かい、バードオブパッセージ。キャンバス作品約10点と、花びんやポストカード、旅先での写真。このほか、6月に和歌山市民図書館でワークショップ「英語でアート」を予定。詳しくはインスタグラム(@lirioartyuri)。

(ニュース和歌山/2022年4月16日更新)