《回答者》
◆外 科
楽クリニック
藤田  定則院長

 前立腺手術は、高齢社会の到来に伴い増加しています。前立腺手術後の早期に、一定の確率で、立ったときなどに足の付け根のそけい部がふらんでくることがあります。この症状は「脱腸(そけいヘルニア)」の可能性が高く、前立腺手術の影響を受けて起こります。

 脱腸の治療は手術加療で、現在はメッシュ(体に無害な網状のシート)を使用する方法が主流です。ふくらんだ部分に入り込んだ腸などの臓器を元に戻し、原因となった弱った部分にメッシュを入れて補強するのですが、お腹の中は前立腺手術の影響で癒着が強く起こっているため、時間を要します。ただ、最近は日帰り手術を行っている医療機関も増えましたので、治療予定を立てるのも楽になってきました。


 術後は2~3日ほど療養し、仕事復帰している方がほとんどです。脱腸を疑ったら、痛くないからと放っておかず、診察を受けられることをお勧めします。

(ニュース和歌山/2022年6月25日更新)