咳やくしゃみをした時など、お腹に力が入ると尿が漏れてしまうことがあります。今は尿パッドを当て対応していますが、尿漏れを予防するためにはどうしたらよいですか。


《回答者》
◆リハビリテーション科
今村病院
リハビリテーション部
理学療法士
光村 早織先生

 尿失禁には様々な症状があります。今回は女性の尿漏れの中で最も多い、腹圧性尿失禁についてお話しします。

 腹圧性尿失禁とは、重い荷物を持ち上げた時、咳やくしゃみをした時など、お腹に力が入った時に尿が漏れてしまうことをいいます。これは骨盤底筋群という骨盤底の筋肉が緩むために起こり、加齢や出産を機に出現することがあります。また、荷重労働や排便時の強いいきみ、肥満なども骨盤底筋を痛める原因になるといわれています。

 腹圧性尿失禁の治療では、骨盤底筋群のトレーニングが効果的です。骨盤底筋は、「内臓が下がらないように支える」「尿をとどめたり排出したりする排泄コントロール」「姿勢の安定」に関わる大切な筋肉です。骨盤底筋は単独で動く筋肉ではないので、他の筋肉と一緒に動かすことで有効性が高まります。左図で、家事や仕事の合間にできる、簡単な運動を紹介します。

 運動は、肛門と膣をギュッと締めるようにします。イメージとしては、「おならをがまんする」ときのような感じです。最初は仰向けの①の状態で始め、慣れてきたら徐々に②~④の姿勢で行います。回数は5秒キープを10回1セットとして、1日2~3セットが目安です。ポイントは息を止めずに、リラックスした状態で行うことです。この運動は、継続することで効果が出るものなので、決して無理はせず、その日の体調に合わせて取り組みましょう。

 また、座っている姿勢も意識してみてください。イラストのように腰を丸めた姿勢を長時間とると、筋肉の活動が弱くなり、尿漏れの原因になります。この機会に是非、日ごろの姿勢を見直してください。

 最後に、今回は腹圧性尿失禁についてお話ししましたが、この他にも尿漏れには多くの原因があります。気になる方は、お近くの病院の専門医に相談することをお勧めします。

 

                (ニュース和歌山/2022年7月24日更新)