《回答者》
◆脳神経外科
貴志川リハビリテーション病院
亀井 一郎院長

 脳腫瘍にかかると、遅かれ早かれ死ななければならないような怖いイメージを持たれる方も多いと思います。しかし、脳腫瘍にもいろいろなタイプがあり、良性のものは一回の手術で完治させることができます。

 ただ、脳は神経組織の司令塔であり、腫瘍のできる場所によって物が見えにくくなったり、聞こえにくくなったり、ふらつきがひどくなったり、思考力が低下してきたり、頭痛が増強してきたりと様々な症状があらわれます。

 治療は手術が中心になります。顕微鏡手術や内視鏡手術の進歩をはじめ、手術用ナビゲーションによる誘導などを駆使して安全、確実にできる手術法がどんどん開発されており、術後は日常生活あるいは社会生活に復帰することができます。「脳腫瘍すなわち不治の病」は「今は昔」の話です。

 また、脳幹部腫瘍など脳深部の場合、ガンマナイフと呼ばれる集中放射線治療法も選択肢の一つで、かつ有用です。脳の表面近くにできた小さな腫瘍でも、悪性の場合は継続的な治療が必要になります。

 上述した症状が続いたり、脳ドックで無症候の脳腫瘍が見つかれば、急ぎ脳神経外科受診をしてください。

(ニュース和歌山/2022年8月28日更新)