《回答者》
◆脳神経外科
貴志川リハビリテーション病院
亀井 一郎院長
そう感じるのはあなただけではありません。
高度1万㍍の上空では、地上に比べ、うんと気圧が下がっています。地上の気圧は1気圧ですが、上空では空気が薄くなり0.2気圧程度しかなく、こんなところでは人間の身体は耐えられません。そのため飛行機内では与圧調節をして、0.8気圧前後を保ってくれています。これは富士山でいう5合目程度に相当します。一方で、この気圧まで下がると、空気中の酸素の量も2割ほど少なくなります。脳は、低酸素下では働きが鈍くなるため、飛行機内で飲酒すると、思考力や判断力が早く低下し、「いつもより早く酔っぱらってしまう」と感じるのです。
さらに危険なのは、「さっさとお酒を飲んでさっさと寝よう」というパターンです。一般的に睡眠中は呼吸が弱まり、血液中の酸素濃度(酸素飽和濃度)がやや落ちています。ところが、上述のように、もともと酸素量が少ない飛行機内において、多量飲酒→睡眠となると、さらに血液中の酸素濃度が落ち、低酸素状態に陥ります。つまり、「いつもより酔いやすいなぁ」と感じるときは、危険状態の一歩手前に来ているのかもしれませんよ。
飛行機での飲酒は、普段よりグッとおさえてください。
(ニュース和歌山/2022年9月24日更新)