《回答者》
◆外 科
楽クリニック
藤田  定則院長

 痔ろうになる人のほとんどは軟便や下痢です。軟便や下痢は、過度なアルコール、体質に合っていない食物、健康食品の摂取、乳製品の摂り過ぎ、腸の病気、ウイルスやストレスなどが原因で起こります。多くの場合、食生活や環境、生活習慣の見直し等で排便状態を改善することができます。

 しかし、便通の状況が変わらず、下痢症状が長く続くと、肛門が弱って切れやすくなったり、細菌による炎症を起こしたり、肛門自体が狭くなることも。

 時に肛門周囲膿瘍や痔ろうといった難治性の肛門疾患を発症することがあります。さらに、肛門周囲膿瘍や痔ろうを繰り返す人の中には、クローン病などの腸の病気を患っている人もいて、その病気のために腹痛や血便などもみられます。

 クローン病の診断はとても難しく、検査も胃や小腸、大腸にまで及びます。大腸内視鏡検査をした上、慎重かつ、正しい判断が必要となります。何度も痔ろうになる方には、このようにいろんな検査や治療を要する病気が潜んでいることがあります。

 軟便や下痢で排便回数が多く、繰り返す肛門疾患のある方は、消化器の病気の可能性も考慮し、大腸の検査を受けられることをお勧めします。

(ニュース和歌山/2022年9月25日更新)