2016年にスタートした人気連載「マエオカテツヤの妖怪大図鑑」は今回で300回に到達です。これを祝し、おめでたい妖怪を2つ紹介します。

幸福度:5
町の妖怪
出没地域:和歌山市

 昔、祖父母の旧家に不思議な絵があった。鬼のような顔をして、体は牛のように大きい。特筆すべきは、体にも角と目があったこと。怖くなかったのは、子ども心に「これは神様に違いない」と勝手に思い込んでいたからだろう。後にこれが「白澤」という妖怪だと分かった。白澤は人間の言葉を理解し、万物の知識に精通する神獣。古い本には、中国最古の王、黄帝に1万1520種に及ぶ天下の妖異鬼神について語り、世の害を除くため、忠言したとある。その知識を黄帝は部下に書き取らせ、「白澤図」という図画を作った。この後、白澤の姿を描いた絵は魔除けとして用いられるようになった。子どものカンもまんざらではない。白澤は神様だったのだ。

(ニュース和歌山/2022年10月8日更新)