《回答者》
◆整形外科
貴志川リハビリテーション病院
手・足の外科センター
整形外科専門医 手外科専門医
谷口 泰德副院長・センター長
ケガをしていないのに爪を押すと強烈な痛みがあるときは、グロムス腫瘍を疑います。グロムス腫瘍とはグロムス器官とよばれる血管の一種の組織から発生する良性腫瘍のことです。このグロムス腫瘍は手指の爪の下に発生することが多く、爪下グロムス腫瘍とも呼ばれます。症状は爪の付け根あたりの痛みです。押したり、寒くなると痛みが強くなります。爪や皮膚の上から青く見えることもあります。成人に発症し女性に多い傾向があります。腫瘍が大きくなると爪に変形がおこり、爪に割れがでることもあります。X線検査で、骨にくぼみが見られることもありますが、MRI検査で発見されることが多いです。この腫瘍はなかなか診断がつかない場合があり、初めは原因不明、気のせい、神経痛と言われることもあります。
治療は手術で摘出する以外に治療法はありません。手術は局所麻酔で、爪の一部を切開しますが20分程度で終わります。手術後、腫瘍による痛みは消失します。良性腫瘍のため適切に摘出すれば再発することはありません。爪の下の小さな腫瘍のため繊細な手術手技が必要です。グロムス腫瘍による痛みが疑われる方は、手外科専門医にご相談ください。
(ニュース和歌山/2022年10月23日更新)