《回答者》
◆外 科
楽クリニック
藤田 定則院長
下肢静脈瘤は、足の静脈血管内の血液逆流防止弁が壊れて発症します。足の血管が浮き出て、だるさやこむら返り、むくみ、色素沈着、かゆみ、発赤、皮膚の硬化のほか、たまに痛みを訴えられる方がいます。
また、静脈瘤によって血流が悪化して、まれに足表面の血管に血栓(血液の塊)ができることがあります。
血栓が血管につまり、炎症を起こすことを「血栓性静脈炎」といいます。静脈とその周辺の皮膚が赤く腫れ、痛みを伴うのが特徴です。痛みが小さな範囲に限定している程度であれば、炎症や痛みを抑える薬で経過観察します。重症化することはあまりないですが、痛みが広がってくる場合もありますので、必ず医療機関を受診しましょう。
注意したいのが、足全体が急に腫れてくる「深部静脈血栓症」です。これは足表面ではなく、深部の静脈血管に血栓ができる病気です。片方の足だけにみられることが多く、痛みを伴うこともあります。
深部静脈血栓症は下肢静脈瘤がない人でも発症し、血栓が深部静脈内を流れ、それが肺に向かってしまうと、「肺血栓塞栓症」という命にかかわる事態を引き起こします。深部静脈血栓症の症状が見られたら、速やかに治療を始めてください。
(ニュース和歌山/2022年10月22日更新)