連載開始からまもなく丸7年を迎える「マエオカテツヤの妖怪大図鑑」。300回突破を記念し、前回に続いて、幸福を呼ぶ妖怪2つを紹介します。

幸福度:5
空の妖怪
出没地域:田辺市

 先日、田辺市にある闘鶏神社に行った時のこと。色彩鮮やかに修復された社殿を間近に見学していると、その中に麒麟の彫刻を見つけた。色こそまだ着いていなかったが、躍動感にあふれていた。さて、この麒麟、首の長いキリンではない。中国では神聖な生き物「瑞獣」とされ、鳳凰、霊亀、応竜と共に「四霊」と総称されている。全身は鹿のようで、顔は龍、牛の尾と馬の蹄を持ち、頭には角。毛は五色に彩られ、身体には鱗がある。この姿に反して、性質は極めて穏やかで優しく、足元の虫や植物を踏むことさえ恐れるほど殺生を嫌うという。世情の変わり目に出現し、これが現れれば泰平な世の中となる。

(ニュース和歌山/2022年10月22日更新)