年の瀬の風物詩、ベートーヴェン『交響曲第九番』を歌う和歌山県第九合唱団の公演が3年ぶりに開かれます。今年は1972年の初演から50周年の節目。第5回から歌声を響かせる団長の山本光子さん(83、写真右)と、1回目から欠かさず参加してきた小島伸朗さん(70、同左)のベテラン団員2人に聞きました。(文中敬称略)
オケをバックに
──初演から50年です。
小島「1972年当時、すでに大阪では年末に第九公演が行われていました。所属していた和歌山労音合唱団のメンバーから『和歌山でも開こう』と声が上がり、私も参加することにしました」
山本「初演時、私は東牟婁の小学校勤めで、和歌山市の学校に移った5回目から歌っています」
──半世紀を振り返り、印象深いのは?
小島「指揮に有名な小林研一郎さん、ソリストとしてソプラノの故・佐藤しのぶさんが出演された第25回ですね。この年の団員は歴代で一番多い約300人でした」
山本「大人数の団員と、プロのオーケストラが県民文化会館大ホールのステージに上がり、お客さんも通路まで入るほど来てくださって、県文がはち切れんばかり。満席の会場はものすごい迫力で、圧巻でした」
紛争ない世界へ
──50周年、節目の公演は来週末です。
山本「新型コロナウイルスの影響でできなかった、フルオーケストラでの演奏会は3年ぶりです。まだコロナ禍で、ステージ上の人数に制限がある中となりますが、小学生から90代まで約80人が歌います」
──歌声に乗せて、伝えたいことは?
小島「ドイツの詩人、シラーの詩にベートーヴェンが曲を付けたのが第九です。詩では、全ての人たちに〝きょうだいになろう〟と訴えます。その思いをみんなと声を合わせて届けたいですね」
山本「ベートーヴェンの交響曲は9曲で、その最後が、1人ではなく、大勢の声を集める合唱付きの曲でした。人間は戦争もするけれど、一方で自由や平等、友愛、そして平和への願いが込められたこの曲を、毎年同じ時期に、全国で歌い続けている。そのエネルギーはすごいと思います。紛争のない世界を願い、50周年の演奏会に臨みます」
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和歌山県第九合唱団公演「歓喜の大合唱」… 12月18日㊐午後2時半、和歌山県民文化会館大ホール。指揮は国内外で活躍する垣内悠希、管弦楽は京都市交響楽団。SS席6000円、S席5000円、A席4500円、大学生以下2000円。同団(073・422・4225)。
(ニュース和歌山/2022年12月10日更新)