《回答者》
◆歯 科
しが歯科医院
日本糖尿病協会登録歯科医
志賀 弘明院長
歯周病は、歯周病菌の感染による慢性の炎症で、歯を失う原因の第1位です。しかし、最近は、口の中だけにとどまらない、全身への深刻な影響が問題視されるようになりました。
歯周病が悪化すると、歯周病菌は血管を通って体を巡り、各組織にダメージを与えて様々な病気を引き起こします。なかでも近年、注目を集めているのが、歯周病と糖尿病との密接な関係です。
歯周病は糖尿病を悪化させ、同時に、糖尿病によって歯周病は進行していきます。歯周病と糖尿病は、このように「負のスパイラル」状態にあるのです。
これを断ち切るには、糖尿病と歯周病を、ともにきちんと治療することです。実際、歯周病のある糖尿病患者が、歯周病の治療を受けたところ、血糖値が下がったという研究結果が数多く報告されています。
糖尿病の人は、ブラッシングによるプラークコントロールをしっかりと行い、さらに、歯科医院で炎症の原因となる歯石を除去するなどの治療を定期的に受けましょう。歯肉の炎症を軽減できればインスリンの働きが回復し、血糖値も改善します。また、一方で、糖尿病の治療によって歯周病が改善し、歯肉の出血が減ったなどの報告もあります。
(ニュース和歌山/2022年12月17日更新)