昨年9月に始まったこの連載も17回目を迎える今回で最後となりました。和歌山県内に所在する選りすぐりの古墳を、和歌山県立紀伊風土記の丘学芸員が紹介してきました。

 その多くは、和歌山平野東の丘陵上、紀伊風土記の丘にある岩橋千塚古墳群に集まっています。こちらでは約900基の古墳が確認されており、このうち約500基は、わが国の歴史の理解に欠かすことができない重要な遺跡として文化財保護法に基づいて特別史跡に指定されています。12月現在、全国47万2千余りの遺跡のうち、特別史跡は63ヵ所しかありません。古墳では約1万5900基のうち9ヵ所、さらに古墳群に限ると、3件のみです。このことから、岩橋千塚古墳群がいかに日本の歴史を考える上で重要か、理解していただけると思います。

上空から日前宮、岩橋千塚古墳群まで望む

 県内古墳の一部は、連載で紹介したように、調査や研究により築造された背景や経緯などが明らかにされています。岩橋千塚古墳群も、調査研究の積み重ねにより価値が明らかにされ、特別史跡となりました。

 現在も県による発掘調査や整備が行われ、今年3月、新たに4基が発見されています。皆さんがお住まいの近くに、現在も日々、新しい事実が明らかとなっている古墳群が存在します。足を運べば、きっと知らなかった古墳時代の和歌山に出合えるはずです。

 県内には岩橋千塚だけでなく、田辺市の史跡、磯間岩陰遺跡をはじめ、連載で紹介できなかったところがまだまだ存在します。ぜひ『わかやま古墳ガイド』を携えて各地を訪ね、古墳時代の和歌山の情景に思いを馳せてください。

 ご愛読ありがとうございました。

(和歌山県立紀伊風土記の丘学芸課長、藤井幸司)

(ニュース和歌山/2022年12月24日更新)