漫画家、マエオカテツヤさんによる人気連載「妖怪大図鑑」が8年目に突入しました。今回は新春特別編として、妖怪の代表的存在、河童を特集。地域によって様々な呼び方で伝わる和歌山県内の河童たちを紹介します。
怖さ:1
出没地域:みなべ町
山の妖怪
夏に川で暮らした「ゴウラ」が、秋に山へ入って、「カシャンボ」になると、この連載の第1回で書いたが、みなべ町に話が残るカシャンボは毛むくじゃらだという。山に棲む「さとり」のような別の妖怪と混同されていると考えていたが、寒くなるにつれて毛が増え、真冬にはふさふさになるとの話を聞いて驚いた。いわゆる冬毛になるのである。こうなれば、もう動物さながらだ。また、山仕事をしている人の荷物の脇に、いつの間にか柿や栗が置かれていることがしばしばあった。これもカシャンボの仕業だと噂したという。面白いのは、この毛むくじゃらのカシャンボにかぎって、悪戯や悪さをしたという話をひとつも聞かない。きっと人懐っこくて、かわいらしい妖怪なのだろう。
(ニュース和歌山/2023年1月3日更新)