海南市の藤白神社敷地内にある創作和食の店「ふじ白庵佶楓」。江原正隆さん(51)が作る料理は、〝和〟の中にちょっと入った〝洋〟が特徴です。「若い人が和食を身近に感じるきっかけにと、洋食の要素を取り入れています。堅苦しく考えず、気軽に味わってもらえたら」と腕を振るいます。
ひと味違う品を
──オープンは?
「2018年です。かつて藤白神社の会合や結婚式の会場に利用された建物で、江戸時代から愛され続けてきた海南市内の料亭、神田屋が08年ごろに移転してきました。私は44歳の時に知人の紹介を受け神田屋へ。オーナーが代わり、18年9月に佶楓が開店、昨年からは料理長として調理場を任されています」
──料理歴は?
「30年近いです。京都の割ぽうや和食店で修業した後、鴨川沿いで居酒屋を始めました。36歳で地元和歌山に戻り、海南市のぎんれいや和歌山市のちひろなどの日本料理店で腕を磨きました」
──和食一本ですか?
「メーンは和食です。ただ、京都の居酒屋でちゅう房に立っていた時、同僚からパン作りやイタリアンも学びました。その経験から、いろんな味を楽しめるよう、会席料理や御膳には洋食を必ず一品入れるようにしています」
若い世代向けに
──例えば?
「菜の花に生クリームを合わせたソースとサワラの幽庵焼き、ジャガイモのソースと熊野ポークの角煮など、和食をソースで洋風にアレンジした料理です。純粋な和食に興味を持ってもらえるよう、洋食に近い味付けに仕上げています。会席料理にはキノコと魚のグラタン、タイのソテーバルサミコソース仕立てといったメニューを並べています」
──目標は?
「お店のたたずまいから年配の方がよくいらっしゃいますが、若い世代にもっと和食を食べてほしい。そこで、ランチには10種類以上のスパイスと熊野牛のスジ肉を使った薬膳カレー、また曜日限定で焼きたてベーグルとジビエソーセージ、ミニグラタンのセットを出しています。まずはこれらを目当てに来店し、『次は会席を頼もうかな』と思ってもらえたらうれしいですね」
──今後は?
「同じ神社の敷地内に、鈴木姓のルーツと言われる鈴木屋敷が3月に復元されるのに合わせ、神田屋時代に販売していた『鈴木さん弁当』を復活させます。観光と一緒に喜んでもらえるものを目指します」
【ふじ白庵佶楓】
海南市藤白434-1
11:00~15:00
17:30~21:00
☎073・488・1118
定休日=水曜
(ニュース和歌山/2023年1月28日更新)