《回答者》
◆脳神経外科
貴志川リハビリテーション病院
亀井 一郎院長

 突然視界にギザギザ・キラキラした模様が現れ、四方に広がり、その場所が暗く、はっきりと見えなくなる…という症状ですね。一般的に、10分~20分程度でその模様は消え去り、元通り見えるようになります。大抵の場合、その後に、片頭痛が起こるため、片頭痛の前兆といわれます。

 閃輝暗点の発生メカニズムは解明されていませんが、脳の血流低下と関係があると指摘されています。疲れやストレス、睡眠不足などが誘発因子となって、カテコールアミンやセロトニンなどの化学物質が増えてくると、脳の血管が収縮し、血流が減ります。例えば「見る脳」である後頭葉の血流が減ると、閃輝暗点が出現します。時間とともに血流が戻るとギザギザ・キラキラは消え去りますが、この血管収縮の後に引き続いて一時に脳血管が拡張する人の場合、耐えがたい頭痛、すなわち片頭痛が起こります。文豪、芥川龍之介も閃輝暗点と片頭痛に悩まされていたことで知られています。

 心配なのが、頭痛を伴わず、閃輝暗点だけを繰り返す人です。極めて低い確率ですが、脳梗塞や脳腫瘍の疑いもあります。頻繁に閃輝暗点が起こるようなら、一度、脳神経内科や脳神経外科を受診してください。

(ニュース和歌山/2023年1月28日更新)