《回答者》
◆循環器内科
みなかたクリニック
南方  常夫院長

 IgG4関連硬化性胆管炎は、IgG4関連全身疾患の一部分症です。質問者様は以前より、IgG4関連硬化性胆管炎で自己免疫性膵炎を合併し、経過観察を受ける一方、最近になって肝機能異常が再燃したため、ステロイドが処方されているとのことです。

 IgG4関連疾患は、免疫反応の異常により、血液中の免疫グロブリンG(IgG)のうちIgG4という成分が上昇し、臓器が腫れたり組織が厚くなったりする病気です。発症する臓器によって症状が異なり、唾液腺や涙腺だと左右対称の腫れ、下垂体だと視野の異常や血圧低下・脱毛、膵臓だと黄疸や軽い腹痛、肺だと息切れやしつこい咳、大動脈だと炎症性大動脈瘤等が現れます。症状が多彩なため、かつては単一臓器の疾患と考えられていました。IgG4関連疾患が認知されるまで、自己免疫性膵炎やIgG4関連硬化性胆管炎は、胆管がんや膵がんと診断されたケースもありました。

 治療は、再燃の場合はステロイドがよく効きますが、患者には高齢者が多く、また、自己免疫性膵炎を合併するため、ステロイド投与に起因する糖尿病の悪化に注意が必要です。早期治療が重要です。主治医とよくご相談ください。

(ニュース和歌山/2023年1月29日更新)